相続税と贈与税、どっちが安い?税率・控除の違いを比較

2019年6月27日

相続税と贈与税はどちらも人から受け取った財産にかかってくる税金ですが、税率や控除面で大きな違いがあります。税制面で言うと、贈与税は相続税に比べて税金が高くなります。
その理由は、贈与税が相続税を補完する税金だから。つまり、贈与税があるのは相続税の課税逃れを防ぐためなのです。この記事を読んでいる人の中には、「相続税と贈与税の違いを具体的に知りたい」と疑問を持っている人が多いと思います。
そこで本記事では、相続税と贈与税の違いについて、税率と控除の2つの面からわかりやすく比較していきたいと思います。

相続税と贈与税、何が違うの?

そもそも「相続税」と「贈与税」がどういう税金かを確認しておきましょう。
「相続税」とは、亡くなった人から相続した財産にかかる税金
「贈与税」とは、人から無償もしくは著しい低価格で譲渡した財産にかかる税金
簡潔に言うと上記のとおりですが、もう少しくわしく見ていきましょう。
まず「相続税」とは、ある人が亡くなった時に、その人の配偶者や子どもなどが相続する財産(相続財産)に対してかかる税金のこと。
この場合の「財産」とは、現金以外にも家や土地、株式、骨董品などお金に換えられるものすべてをいいます。見落とされがちですが、生命保険金や死亡退職金(勤めていた会社から支払われるお金)も相続財産にふくまれます。
ただし、葬儀に係る費用や墓地・墓石、仏壇、神棚などは相続財産から差し引くことができますよ。
一方、「贈与税」とは、人から無償で譲渡された財産にかかる税金のこと。
たとえば、親が子どもへ自動車を無償(タダ)で譲渡した場合。この場合、自動車の価額が贈与税の課税対象になります。
ちなみに、無償ではなく「著しい低価格」で譲渡がおこなわれた場合は「みなし贈与」があったとされ、やはり贈与税の対象となります。
そして、相続税と贈与税は「税率」と「控除」の2つの面で違いがあります。
次の段落からくわしく見ていきましょう。

税率の違い

冒頭でお伝えしたように、贈与税は相続税よりも税金が高いです。
両者の税率の違いを比較しましょう。

相続税

相続税の税率は、取得金額に応じて10%〜55%の範囲で8段階に分かれています。
次に説明する贈与税同様、取得金額が大きいほど税率も高くなる累進課税制度が適用されています。

参照:国税庁「相続税の税率」

贈与税

贈与税の税率は、基礎控除後の課税価格に応じて、10%〜55%の範囲で8段階に分かれています。

ちなみに贈与税の税率には特例が設けられており、特例にあてはまる場合は上表より税金が安くなります(特例贈与財産)。
たとえば、祖父母から孫への贈与があった場合は、特例贈与財産に該当します。特例贈与財産では、課税価格が引き上げられ、控除額が大きくなります。
参照:国税庁「相続税の計算」

控除の違い

先ほど税率について伝えましたが、相続税も贈与税もどちらも基礎控除があります。
基礎控除とは、一定の非課税枠のこと。
基礎控除額以下なら税金がかからず、基礎控除額を超えた部分に対して税金がかかってくるのです。

相続税

相続税の基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求めることができます。
たとえば、法定相続人が1人の場合、3,000万円+600万円×1=3,600万円までは相続税がかかりません。
法定相続人が4人の場合ですと、3,000万円+600万円×4=5,400万円までは相続税がかかりません。
このように、法定相続人が多いほど基礎控除額は大きくなるのです。
参照⇒国税庁「相続税の計算」

贈与税

贈与税の基礎控除額は、110万円です。
この110万円というのは、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産から差し引くことができる金額です。
これを利用し、年に110万円ずつ贈与すれば(連年贈与)、それだけ節税につながります。
たとえば、毎年110万円ずつ10年間贈与を続ければ、1,100万円を非課税で贈与できることになるからです。
もし1,100万円を1度で贈与するとなると、贈与税が390万円かかります。
参照⇒国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」

なぜ贈与税の方が高いのか?

贈与税は相続税の課税逃れを防止するためにあります。そのため、贈与税の方が相続税より高い税率が設定されているのです。
もし仮に相続税のみがあって贈与税がないとしたら、生前に財産を贈与しておけば相続税の負担を逃れることができてしまいますからね。

まとめ

相続税と贈与税について、違いを比較しながら確認してきました。
人から譲渡(相続)された財産への課税が2種類ある理由、贈与税が相続税より重く設定されている理由がお分かりいただけたかと思います。
譲渡の方法次第で税金は大きく変わってきますので、なるべく税負担が少ない方法での譲渡を検討したいものですね。
相続の手続き、あなたは正しく理解していますか?

この記事のライター

ちな

会社勤務のかたわら複業としてライター業をはじめ、3ヶ月後に独立。節約、投資、税金などお金にまつわる話をわかりやすく伝えるライターとして活動中です。

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